旅の写真を撮るのは別に珍しくないものだろう。またビデオでの撮影についても同様だと思う。
ビデオカメラが実家に初めて登場したのは、ソニーのハンディカム初期型だった。兄だったか父だったか忘れたが確かあまりの小ささと綺麗な画像に驚いたものだった。当時、実家で買った最初のビデオカメラはソニーのベータマチックだった。
オーディオに凝っていた兄は、ソニーの評価も低くはなかった。我が家にあったCDデッキはソニーのものであり、それは評判がよいモデルだった。しかし、カセットデッキはナカミチだったり、アンプはプリメインに分かれているオンキョーのインテグラだったりと、詳しい人なら知っている機種が並んでいた。
アナログのレコードプレーヤーだけは納得ができなかったようだが、当時初めての試みという事で、パイオニアが出したリニアトラッキングアームという、レコードの溝に対してカートリッジ(針)のアームが常に同じ角度で当たるように、平行に移動するタイプだった。本当はマイクロのターンテーブルが欲しかったようだが、とてつもなく高かった。
カートリッジはシュアのVMタイプだった。ジャズやロック、ソウルが多かったせいだろう。兄が実家を出て独立してからは、私はMCタイプに変えたのを記憶している。そんな中でソニーはやはり通らなければならないブランドだったのかもしれない。
ハンディカムという商品名称のポータブルビデオカメラは、今も続いている。製品の品質は非常によかった。しかし私はその当時音楽にはまっていたので、あまりビデオカメラを持ち出す事はなかった。
大学時代から始まったバイク旅の世界でも、ビデオは忘れ去られた存在だった。そして仕事に就いてしばらくして、ある一人の旅人に出会う。
彼は首からビデオカメラをさげていた。手で構えるタイプではなく、首からさげ、右手を添えて撮影する変わった形のモデルだった。ソニーとフジがそのような形を出していた。
彼と出会ってしばらくして、彼が撮影してきたビデオを見せて貰った。そこには、なんと旅があったのだ。
旅が凝縮され、その情景や出会い、出来事が詰まっていた。編集により、ダイジェスト映像が高橋幸宏氏の曲にあわせて流れ、1シーンが3秒から10秒位のつなぎ合わせだったのだが、胸に伝わった。そのショックから、私もまねをしてビデオカメラを旅に持っていく事にしたのだった。
ビデオカメラは構えて撮るものだ。しかしレンズを向けられ、構えられると、撮影される側はやはりちょっと普段と違う態度を取ってしまう。しかし、同じタイプという事で首からさげるフジのシンプルハイ8というモデルを購入。構えなくても首からさげて撮影スイッチを入れるだけで、自然な表情や会話が撮れるのだった。
これが面白くて、ツーリングにも持参した。首からさげて撮影すれば、オンボードカメラよろしく、林道を攻めて走るシーンだって撮れる。三脚を使えば、自分が走っているシーンも撮れるのだ。これは面白いと思い、八重山や北海道などの一人旅に持っていくだけでなく、ネパールや雲南などの海外にも持参するようになった。
しばらくして液晶の接続に使われているフレキシブルケーブルが断線して壊れた。修理をしたりしているうちに、ビデオカメラは高性能になっていて、Hi8を1台買い換えたのだが、やはり首からさげるタイプは素晴らしく使い勝手がよく、古いシンプルハイ8を持ち出す事も多々あった。
時代は8ミリカメラからHi8、そしてminiDVへと変わっていく。そんな中で待ちに待ったモデルが登場した。それが今も現役のCanon CV11だ。
実はその前に相当な金額を投資して買ったHi8もCanonだったのだが、これがモーターの走行音やズームの音をマイクが拾ってしまい、静かな朝の風景とかはまったく使い物にならなかった。Canonはこれで失敗を繰り返さずによいものを作ってくるだろう、と思って期待を込めて手を出したのだが、まったく同じ問題でCanonに問い合わせる程腹立たしかったのだ。
Canonは小型の筐体にした事で、マイクがテープの走行音を拾ってしまい、技術的にはこれ以上改善できなかったという回答に、ではソニーはそんな事はハンディカム初期型からこんな問題はなかった事はどう説明するのかと言っても同じだった。
私はこの時Canonへの信用を失った。今では信用は少し回復し、デジタル一眼やコンデジ、プリンタやフラットベッドスキャナがCanonになっているのだが、この事があってからビデオカメラでCanonは二度と買わないと誓っている。
といっても、首にかけられる構造で、コンパクトな筐体は秀逸だ。今でも十分にみられるデザインなのだが、すでに生産中止。このような形をしたビデオカメラは今は存在しない。
先日ディスクドッグ競技を三脚をたてて撮影していた時、撮影開始ボタンが紛失し、撮影ができなくなってしまった。新しいビデオカメラで欲しいものは実はあるのだが、大会の映像を撮るならこれで十分なので、また保険を使って修理する事にした。
キャノンのサービスに持っていくと、今年の11月で部品供給を終了するとの事。最後の修理になるかもしれないので、各部の点検も行って貰う事にした。これにより半年の修理保証が付くらしい。無事帰ってきたCV11は、正常に稼働した。これから携行品の保険金請求をする事になるのだが、免責は3000円。修理費用は部品代が900円強で標準修理の料金が9000円というもの。まあ6000円ちょっと、保険で得した事になる。
私の欲しい新型ビデオカメラは、三脚に載せっぱなしで撮影するにはちょっと適さない。なので、しばらくディスク大会にはこのCV11に頑張って貰いたいと思っている。ボディに内蔵するタイプのバッテリの為、寒い日には稼働時間が5分とかとんでもないものなのだが、直前まで肌にあてて暖めておくと、20分位は撮影できるという手間のかかるビデオなのだが、もうちょっと頑張ってほしいと思う。
前のように旅の動画も撮ってみたい。その場合は、欲しいと思っているパナソニックのSDR-S100を手に入れたいと思っている。
写真は雲南省の麗江のメインストリート。バックには玉龍雪山を望み、私の首にはCanonのCV11がかかっている。修理も完了した事だし、もうしばらく付き合っていくつもりだ。
