くーにとっての喜び

色々な犬がいる。飼い主さん命、食べる事が命、散歩が命。家の中だけ態度が大きいが、外ではおとなしい犬や、逆もいるだろう。

犬を飼うにあたって、犬種を指定して迎える人や、ペットショップで目があったのがきっかけの人、そして近所で生まれた小犬を引き取る人、保護された犬の里親になる人など、きっかけは色々だ。我が家はその中では特に珍しくない迎え方をした。それは、犬種を決めて、その犬種である条件で分譲してくれるブリーダーだった。

どんな犬にしても最初に迎える時、その犬の性格なんかわからない。せいぜい見た目から俗説であるブレーズがはっきりしている子は気が強いとか、ブラックヘッドはおっとりだとか、確証のない話から想像するのだが、我が家は5匹生まれた小犬の中で、目にとまった白いブレーズが頭にはっきり入った子だった。

その子は我が家にやってきて、くーという名をつけられた。その女の子は気が強く、小さくても飼い主に甘える事もなく、出会う犬たちにも物おじせず、じゃれに行くようなタイプだった。コーギーという犬種の多くがそういう飼い主に依存せず犬好きな人だと感じられれば飛びつき、飼い主だからといっても特別な存在でもないような素振りでなかなか慣れないという、極めて普通のコーギーだったようだ。

その子を迎えて由は悩みに悩んだ。初めての犬という事もあって、わからない事だらけの中で、くーの素行に悩まされた。私には振る尻尾は、毎日散歩に連れていっている由にはあまり振られる事はなかったり、由のいう事はあまり聞いてくれなかったからだ。昼下がりの午後、居間で由がうたた寝をしていると、いつしかくーが寄り添って一緒に昼寝をしている、という情景を想像していた由は、ショックだった。

しつけという行為に前向きになり、訪問のトレーナーを最初に我が家に呼んだ。そのトレーナーは正直ひどいタイプだったが、その後親戚犬のダイゴ君の飼い主さんに紹介された北千束にあるパピー教室に参加をし始めた。毎週土曜日の午前中、本当によく通った。その中でくーと由が少しづつよい関係を築いて行くのだった。

くーはその頃からものを引っ張りあいする遊びや、何かを追いかける事が大好きだった。興奮すると手がつけられない程だったが、その目は幸せに満ちていた。

教室で初めて飛んだハードルは、参加者の中では唯一飛ぶ事ができた。それも猛スピードで。くーはその頃からスリート犬だった。いつしかフリスビーが大好きになり、ソフトディスクといわれるウレタンが入ったナイロンのディスクはくーの一番のお気に入りになっていった。

2歳になる寸前、普段の散歩から右手の内側の指を骨折。それから長い長い療養生活に入った。包帯をギプスのように巻き、散歩も指が曲がらないようにブーツを作ったり、むれてしまったり包帯が擦れて毛が抜けてしまったり、途中再骨折も含めて8カ月近い包帯生活が続いたのだった。くーにとってそれまでの筋肉は全ておち、楽しいはずの散歩は我慢の散歩となってしまっていた。

しかしその間に、由にペッタリと甘えるようになったり、添い寝するようになったり、抱っこをするようになったりこれまでなかった行動をするようになった。ある意味、無駄な8カ月ではなかったのだが、犬にとって2歳から3歳までの8カ月は、あまりにも大きい損失だった。

3歳前にディスク競技に出始めて、くーの新しい喜びに満ちた時間を一緒に味わえるようになった。そして3歳をすぎて4カ月目、初めてパピー教室で経験したアジ機材を使った競技の練習を経験した。

くーはまた、満面の笑みを浮かべながら、由の言う事を半分くらいしか聞かないで、自分なりにハードルやトンネル、Aフレーム、ドッグウォークを走り回った。嬉しそうな表情は飼い主にとっても幸せを感じる瞬間だった。

しかしその笑顔を絶やさない為には、由が相当ハードな肉体的トレーニングをしなければならなかった。由は足の親指両方の爪に内出血を作り、体中の筋肉痛にあいながら、くーをもっと決められたコースに沿って走らせる為に、これからも努力を続けるだろう。

ディスクは黙っておれず私がとうとう手を出してしまったのだが、アジについては私は由に全てを任せようと思う。由とくーが楽しむ為にフォローし、記録をしたいと思っている。

写真はその記録のひとつ。ハードルをなぎ倒しながらも見せるこの笑顔は、くーにとって生きがいのひとつ。大事にしたいと思える飼い主の宝に他ならないのだ。

20060425.jpg

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comments

今日VTR見せてもらったけど
ホント楽しそうだったよ。
飼い主も(笑)

  • じん
  • 2006年04月29日 20:32

じんじんさん

はは、飼い主(ハンドラー)は必死でしたね。
楽しそうというよりも、限界だったかも。(^_^;

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