ありがとう、こいち。
くーを飼う事を決めた頃、コーギーという犬種を少しでも知るべく、ネットを彷徨った。
その中で、コーギーは愛らしい外見に似つかわしく、運動能力が非常に高く、走る事が大好きな犬種というのが分かってきた。本来はそんな事は飼う事を決める前に知っていなければならないのだが、まあその時は私たちも素人だったという事で。問題はそういう犬種を迎えるにあたって、どう育てていき、どう楽しんでいくかなのだから。
そしてアジリティよりも目立ったのが、フリスビー。そう、随分あとでフリスビーは登録商標であり、認められた製品だけがそう呼ばれる事を知ったのだが、いわゆるフライングディスクのキャッチ&レトリーブの競技で活躍する犬たちだった。
その中ではボーダーコリーやラブラドールなどの大型犬が目立っていたのだが、コーギーも小型犬の中では目立っていた。その時は短足の体系からくる足腰への負担をどう減らすかなんて思ってもいない。ただ美しいディスクをキャッチする姿の写真をみては、コーギーという犬のひとつの側面をかいま見られたというべきか、驚きもあったが、とにかくその真剣な眼差しの美しさを感じていた。
そんな中に、目立ったウェブサイトがあった。タイガーマスクやミル・マスカラスを模したマスクを被り、ディスクを追う姿だった。それはあまりに鮮烈なものだった。そしてそのコーギーこそが、一度名を聞けば忘れない、白足袋小一郎くんという名だった。

こいちと愛されて呼ばれる白足袋小一郎くんとの出会いは、私たちがディスクを初めて1カ月半ほどたった頃だった。
私たちもディスク競技に出始めて、右も左もわからない時、やはり知り合って会話を交わすのはコーギーの飼い主だった。白足袋家にはもう一人、尻尾のある白足袋小十郎君という子がいる。どちらもマスクドッグの草分けで、会場では目立っていた。知り合いから紹介され、あの白足袋家のみなさんと会話する事ができた時には、不思議な気持ちだった。はるか先を歩んでいると思っていた人たちとの出会い。そして、私たちが同じ大会に参加し、同じ時間を過ごせるという喜びを感じていた。
私は会場でお世話になっている人に、コーチを受けたり話し相手になって頂いているお礼を、何かしたかった。私にできるプレゼントというのは何だろう、と思い、私は写真を撮った。全員のは撮っていられないし、自分も参加している訳だからなかなか時間もとれない。なので、そんな中でできるだけ知り合いになった人の競技や犬たちを撮影し、あとでプレゼントするのが私にとってささやかなお礼だったのだ。とはいえ、私自身そんなに写真が上手いとなんて思っていない。ミスの方が多い位だし、お礼になるかどうかなんて分からなかった。
しかし貰ってくれた人たちは、お世辞かもしれないが喜んでくれた。白足袋家の方も、喜んでくれた。それは撮影した私にとって、とても嬉しい事だった。
そんな先輩の中の一人、そして私たちがくーを迎えようと日々準備をしている時に、こんな事がくーと一緒にできればいいなと思っていた夢の案内犬、白足袋小一郎くんが、昨日の午後、亡くなった。詳しくは分からないが、9歳と5か月…あまりに早すぎる訃報は、私を動揺させた。
ここ最近私の周りでは、お世話になった知人、地平線会議の代表世話人の江本さんの愛犬くるみちゃんと雪丸くん、Living-With-Dogsのオーナーの愛犬トレーシーちゃんと、訃報が続いていた矢先の事だ。
何でこんなに悲しいんだろう。あの飼い主さんと一緒に、にこにこと笑顔をみせながら遊んでいる姿を思い出しては、どうにもならないのは分かっていても、それが運命だと分かっていても、悔しい。まだ早い、虹の橋を渡るのはまだ早すぎる、と呟く自分がいる。
最近あっという間に3歳半になってしまったくーと一緒にいると、今何をして遊ぶべきか、何がくーにとって幸せを感じられるのかという事をよく考える。まだ3歳半で何を言っているんだ、と言われるかもしれないが、私は3歳半の今しかできない事を一緒にしてやりたい、だからこそチャンスを逃したくないと思うのだった。
長い長いこの銀河系、地球の歴史の中で、私たちがこの世にいる間、何ができるかを考えて、貪欲に取り組んでいきたい。きっとこいちも今まで沢山の幸せを飼い主さんや友人たちと感じてきたはず。私もくーが幸せを沢山感じてくれるように、自分の体が少々辛くてもチャレンジしていきたい、そう思う。
「こいち、ゆっくり虹の先で休んでね。私も飼い主さんも、生けるものは皆、いつかそこに行くんだから、少しそっちで先に行って待っていてね。」
写真はつい数カ月前のディスク大会で。この姿は決して忘れる事はない。

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- at 21:48
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