明石は蛸というよりも

東京に生まれ育った私は、故郷はないようなもので、まだ幼少の頃は土もあったのだが、今ではすっかり作られた緑しかなくなってしまっている新宿が故郷だ。

公園も浮浪者が居座り、普通にボール投げや三角ベース、刑泥(ケードロ)などをしていると、小さい子供にものを投げてきたり、酔っぱらって近寄ってきたりする。治安的にはとてもよい環境とは言えなかった。

今あらためて遊んだ事のある公園を訪れると、柵で囲われ夜は施錠されていたり、今もなおホームレスが我が物顔で私物を広げて、スラム化は進んでいるような気がする。

そういう所が故郷というようには、正直思いたくない。愛着を持てなくなっているのは、自分のせいではなく、場所の問題でもあるからだと思うのだ。

由の故郷は神戸。西の明石に近く、瀬戸内の海の恵みと、坂の町という感じだろうか。尾道のように坂が多く、結構なひしめき方で坂だろうが何だろうが家が立っている。正直な所、これでは強度に問題があるのではという家も結構みかける。車も坂なので、アクセルをふかし、自転車だと厳しいので原付や電動自転車が多い町だ。

一番近い都会は三宮だが、実際に電車に乗っても東京の混み方とはやはり違う。のんびりした雰囲気はとても羨ましい。

母親の郷里は岩手で、まさに田舎といってもいい所なのだが、私にとっての田舎はずっと探し求めて、個人的には開陽台のある道東だと思っている。高校時代に八ヶ岳の麓に憧れているのは、今でも変わってはいないのだが、心の支えになる故郷の存在は大事なのではと思う。

いつか、心休まる場所に住み、静かに暮らしたい。そんな場所はどこになるのだろうか。

写真は活気があるが素朴な明石の魚の棚(うおんたな)の看板。鯛や蛸ばかりではなく、海のものはすべて美味しい。やっぱり島国ニッポンを象徴しているような場所でもある。

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